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    ほっといてよ。

    • 2012.08.01 Wednesday
    • 13:01
     
    先日100円ショップでの出来事。


    買い物をしてお会計に向かうと、レジに3名ほど

    並んでいました。



    レジには「入り口」と書かれた札があり、そこには3台の

    レジスター並んでいましたが、稼動しているのは「入り口」と

    書かれた札から一番離れた端っこのレジスターのみです。


    そして、


    「入り口」と書かれた札のすぐ目の前の、稼動していない

    レジスターの前で、60歳くらいの女性がカゴの中身を見ながら

    財布からお金を出しています。



    でも、ちょっと様子が変です。



    小刻みに小銭の擦れ合う音が

    チャッ、チャッ、チャッ、チャッと

    聞こえてきます。


    (ああ、この人、脳の病気をしてしまったんだな。

     だから、レジに行って時間をかけないよう

     今ここでお金を用意してるんだね)


    と、思っていると


    チャッ、チャッ、チャッ、チャッと刻む

    スピードがどんどん高速になってきて、

    ついには1円玉を床に溢してしまいました。



    私の目の前だったので、バラバラと広がる

    1円玉を拾って「どうぞ」と声をかけると、


    「どうぞ」の「どう」までいい終えるか

    終えないかのところで


    「ほっといてよ!」


    と店内に響き渡るほどの金切り声を

    私に投げてきました。


    店内では(レジの女性も、私の後ろに並んでいた人も)


    「・・・・・・」。



    ほんの0.数秒間でしたが、確かに時間が

    止まりましたね。



    映画マトリックスの1シーンみたいです。



    0.数秒間停止した後、レジのキーボードを

    たたく音で気がついた私はといえば、


    「はい、ほっときます」


    と小さく相槌を打ち、拾い上げた1円玉

    6枚を静かに床に戻し、「次の方どうぞ」

    という声に促されて、レジへと向かいました。



    この話を知り合いにしたところ、

    「もっと強く反応すべきだった」

    という意見が大半でした。


    普通そうかもしれません。



    でも、

    きっと思い通りにならない自分に苛立って

    いたことは想像に難くないわけで、



    わずかな親切心を出した他人様に対して

    吐く言葉ではないってこともわかりますが、



    あの店内を真っ二つにするような鬼気迫る

    声を聞いたとき、怒りではなく、哀れみとも違う

    何か悲しみのようなものを感じたんです。



    誰にも言えない、理解しても貰えない

    だろうという出口の見えない閉塞感。



    今そこに立っている自分、お金を拾った私、

    店内にいいるお客さん、道を歩いている多くの人、

    そして目に見えぬ何か。



    すべてのものへの怒りであり、悲しみであり、

    その裏に潜む「救ってほしい」と願う自身の心。



    今おかれている状況と向き合うこと、

    起こってしまったことを受け入れることが、

    どれほど大変な作業であるかということを


    身をもって体験した出来事でした。




    本日も最後までお付き合いくださいまして

    ありがとうございました。

    JUGEMテーマ:ビジネス


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